当座比率
当座比率とは
企業の短期的な支払い能力を判断する指標です。
企業のここ1年間で返済期限のくる借金に対して、手元の当座資産(現金化しやすい資産)はどれくらいあるのかを当座比率を使って判断します。
当座資産の説明
当座資産とは、流動資産の中でも特に換金性の高い資産のこと。
【例】現金、預金、売掛金、受取手形、有価証券など
流動資産と流動負債の説明
流動資産とは、1年以内に「現金化」が可能な資産のことです。
【例】現金、預金、売掛金、有価証券、商品、原材料など
※これらのうち商品や原材料などの現金化に時間がかかる資産は棚卸資産と呼ばれ、当座資産には含まれません。
流動負債とは、1年以内に返済しなければならない負債のことです。
【例】買掛金、支払手形、短期借入金など
上記したように当座資産は、資産の中でも現金化しやすい資産のことです。その「比較的現金化しやすい資産の金額」に対して、「ここ1年間で返済期日の来る負債の金額」を比較することで、会社の短期的な支払いの対応能力を判断する時に使う財務指標が当座比率です。
流動負債に対して当座資産がどれくらいあるのかという見方をします。当座資産の割合が高ければ高いほど、手元資金は潤沢にあるという判断が出来ます。
当座比率の計算式
当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100
当座比率をもっと詳しく
当座比率の目安
理想企業 100%以上
企業平均 90%以上
要注意企業 80%以下
ちなみに日本の全産業の当座比率の平均値は80%台の半ばで推移しています。
【例1】当座比率100%以上の企業
当座比率が丁度100%だと、当座資産=流動負債の状態です。当座資産の金額だけで短期の借入金を一括で返すだけのお金を持っている企業です。
1000万円の借金があり、当座比率150%の企業だと当座資産が1500万円あることを意味しています。借金よりも当座資産の金額の方が500万円分多いため、健全な財務状況であることが判断できます。
【例2】当座比率50%の企業
当座比率が100%以上ない企業は多くありますが、流動負債に対して当座資産がどれだけ下回っているかで企業の財務状況の不安定さを判断します。
1000万円の借金があるのに手元の当座資産は500万円しかないことを意味しています。手元の当座資産と同じ金額の借金を会社が抱えている状態です。流動負債なので、1年以内に当座資産で賄えない500万円を準備しなければならない状況です。
借金の返済が滞れば会社は倒産するので、危険な財務状況の企業と判断できます。
これらは分かりやすいように極端な数値で計算しましたが、実際の企業に当てはめて計算する時も基本的な考え方は同じです。
他の財務指標などと同様に、企業の業種によっても高くなりやすい業種と低くなりやすい業種があります。流動比率の平均値で比較することが大事です。
当座比率を使うときの注意点
当座資産の中身を注意してみる必要があります。
当座比率は企業の安全性を判断するための財務指標の中でも、資産の種類を現金化しやすい当座資産に絞って計算しているので実態と数値に大きなブレが出にくい財務指標です。
ですが当座資産には現金、預金、売掛金、受取手形、有価証券などがあります。
当座資産の中でも現金や預金の比率が高く当座比率も高い企業なら、財務面の健全性ではもう分ありません。
ただし注意してみなければいけないのが上記したように当座資産の中身です。
「当座比率は高いけど、中身を見てみると現金や預金の比率が低く売掛金と受取手形の割合が大半を占めている企業」です。
例えば表向きは当座比率90%と日本の企業の平均以上の会社でも、当座資産の中身の80%が売掛金や受取手形が占めている場合は要注意です。
こういった企業は売り上げが計上されていても、お金の回収までの期間が遅く手元資金に余裕のない企業です。
当座資産のわりに手元の現金や預金の割合がかなり小さいので、これまで通りに売掛金や受取手形の回収が出来なくなるとすぐに倒産の危機に直面する企業です。
もしくは最悪のケースは、企業の架空売上による過去の粉飾決算の繰り返しで売掛金と受取手形の金額が大きくなっているケースも考えられます。
他にも有価証券で考えると、買っている証券が値下がりして損失が発生している場合です。
これも当座資産に対して有価証券の比率が低ければ大きな問題とはならないのですが、企業の当座資産の中でも有価証券の比率が高いとこういった懸念も考えられます。
当座比率の数値だけを見て判断するのではなく、中身までしっかりと確認するようにしましょう。
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