目次
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インタレストカバレッジレシオとは企業の安全性を判断する指標です。
この記事ではインタレストカバレッジレシオの下記の内容が分かります。
- 何を判断する指標か?
- 計算方法は?
- 指標の使い方は?
- 使う時の注意点は?
それでは順番に解説します
。
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インタレストカバレッジレシオとは?
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インタレストカバレッジレシオとは「借金の利息」と「会社の稼ぐ力」を比べて、金利の負担能力が分かる指標です。
企業は事業を行う際に銀行から何億、何十億の単位でお金を借ります。
そのため銀行に支払う利息は大きくなります。手元資金や借入金額によっては資金繰りを悪化で返済が滞り、事業が継続できなくなることもあります。
つまりインタレストカバレッジレシオを見れば、利息と稼ぐ力から財務の安全性を判断できます。
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ちなみにインタレストカバレッジレシオは各言葉の意味を理解すると覚えやすいです。
- インタレスト → 支払利息
- カバレッジ → カバー、賄う
- レシオ → 割合
金融機関が企業に融資する時に業界平均と企業を比較して判断されます。
インタレストカバレッジレシオの計算式は?
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インタレストカバレッジレシオの計算式は2つあります。
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インタレストカバレッジレシオの計算式①
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計算式①ではインタレストカバレッジレシオの概算値を計算できます。
計算式は下記です。
「営業利益=稼いだ利益」と「支払利息=銀行への支払額」で計算します。
支払利息の何倍の営業利益を稼げているか?で企業の資金繰りを判断するという訳です。
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インタレストカバレッジレシオの計算式②
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計算式②では更に詳しいインタレストカバレッジレシオを計算します。
計算式は下記です。
計算式①に「受取利息、受取配当金」を加えます。より実態に近いインタレストカバレッジレシオの値が分かります。
- 受取利息 → 銀行などの預けたお金などから受け取る利子や利息
- 受取配当金 → 所有する株式などから受け取る配当金
計算式②になると、ここまで詳しい項目を調べるのは困難なことが多いです。
受取利息や受取配当金は額が小さいケースが多いため、項目抜きの計算式①でもかなり実態に近い値がケースが多いですね。
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インタレストカバレッジレシオの使い方は?
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ICRは倍率が高いほど安全性が高い
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インタレストカバレッジレシオは5倍、10倍と倍率で表します。
計算式は「営業利益÷支払利息」なので、倍率が高いほど企業の安全性は高いことが分かります。
「営業利益を多く、支払利息は少なく」する必要があるので、企業が稼げていないと値は高くなりません。
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投資方針によってはインタレストカバレッジレシオの高すぎがNGなケースもあります。記事の後半で「インタレストカバレッジレシオの注意点」を解説してます。
ICRの平均や基準は?
インタレストカバレッジレシオの平均や基準をサラっと紹介します。
業種によっても平均や基準は変わりますが、これは記事の後半で解説します。
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ちなみにICR1倍とは「営業利益=支払利息」の状態です。つまり借入金の返済や事業投資、株主還元などに何も資金が使えません。
ICR12~15倍が平均値
インタレストカバレッジレシオの平均値は12~15倍です。
ICRが12~15倍の企業の例は下記です。
- 8591 オリックス → 13倍
- 3086 Jフロント → 13倍
- 6727 ワコム → 14倍
- 7550 ゼンショー → 14倍
- 9007 小田急電鉄 → 15倍
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ICR18倍以上が理想
インタレストカバレッジレシオの理想は18倍以上が目安です。
ICRが18倍以上の企業の例は下記です。
- 2914 日本たばこ産業 → 18倍
- 2501 サッポロHDG → 19倍
- 2802 味の素 → 21倍
- 7205 日野自動車 → 22倍
- 2651 ローソン → 24倍
- 6755 富士通ゼネラル → 28倍
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ICR30倍以上は超優良
インタレストカバレッジレシオが30倍以上の企業は超優良企業です。
ICR30倍を超えの超優良企業の例は下記です。
- 2371 カカクコム → 46倍
- 2229 カルビー → 74倍
- 6594 日本電産 → 77倍
- 4452 花王 → 188倍
- 9433 KDDI → 365倍
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ICR10倍以下は注意
インタレストカバレッジレシオが10倍以下の企業は注意が必要です。
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ICR10倍以下の企業の例は下記です。
- 4485 JTOWER → 3倍
- 4565 そーせい → 3倍
- 3933 チエル → 5倍
- 3920 IBC → 6倍
- 3563 スシロー → 9倍
事業規模や時価総額が小さな企業が目立つ印象です。
値が低くなる理由は「借入額が大きい=支払利息が大きい」とシンプルです。
今後の成長に事業投資が必要で、銀行への借入額も大きくなります。
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インタレストカバレッジレシオの業界平均は?業界別に解説!
同業種の他企業と比較すればOK
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インタレストカバレッジレシオは基本的に倍数が高いほど、安全性が高い企業と判断されます。
でも「値が高い=良い企業」と単純な判断はNGで、業界の平均値と比較すべきです。
何故なら業種毎に平均値がかなり違うからです。
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インタレストカバレッジレシオの業界平均を知る
業界の代表企業のインタレストカバレッジレシオの値をまとめました。
鉄道業界
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- 9020 JR東 → 8倍
- 9022 JR東海 → 9倍
- 9021 JR西 → 11倍
- 9007 小田急電鉄 → 15倍
- 9001 東武鉄道 → 15倍
鉄道業界のインタレストカバレッジレシオは平均10倍前後です。
先に「10倍以下は注意」と書きましたが鉄道業界は安定収益が入る業種なので多少、値が低くても問題無しです。
電力業界
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- 9508 九州電力 → 4倍
- 9504 中国電力 → 6倍
- 9506 東北電力 → 9倍
- 9511 沖縄電力 → 11倍
- 9507 四国電力 → 21倍
電力業界も鉄道と同様に安定的に稼げる業界なので、インタレストカバレッジレシオは全体的に低めです。
同じく平均値は10倍前後が目安ですね。
食品業界
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- 2501 サッポロHDG → 19倍
- 2802 味の素 → 28倍
- 2281 プリマハム → 61倍
- 2593 伊藤園 → 67倍
- 2264 森永乳業 → 182倍
食品業界のインタレストカバレッジレシオは平均30~40倍前後です。
森永乳業は何と182倍と非常に高く、安全性はズバ抜けて高いです。
建設業界
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- 1805 飛鳥建設 → 26倍
- 1893 五洋建設 → 30倍
- 1419 タマホーム → 39倍
- 1719 安藤ハザマ → 112倍
- 1808 長谷工 → 818倍
建設業界のインタレストカバレッジレシオは平均30倍前後です。
長谷工は818倍と非常に高いですが、インタレストカバレッジレシオが高過ぎるのもNGです。(後で解説します。)
医薬品業界
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- 4558 中京医薬品 → 20倍
- 4503 アステラス製薬 → 25倍
- 4883 モダリス → 64倍
- 4880 セルソース → 220倍
- 4599 ステムリム → 1359倍
医薬品業界はインタレストカバレッジレシオの値の開きが特に大きいです。
そのため業界の平均値は無し考えるべきです。
ですが下記の傾向があります。
- 上場後、間もない企業は高い
- 上場後、一定期間の経過で低くなる
上場直後の企業は上場時の調達資金を開発資金に使います。つまり「銀行借入不要→利子支払い減→低ICR」となり、値が低くなるわけです。
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小売業界
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- 2685 アダストリア → 26倍
- 3186 ネクステージ → 27倍
- 3193 鳥貴族 → 22倍
- 8267 イオン → 18倍
- 7616 コロワイド → 2倍
小売業界のインタレストカバレッジレシオは平均20倍前後です。
この中ではコロワイドがダントツで低く、かつ業界平均に対して大きく下回っているので注意が必要です。
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不動産業界
- 3289 東急不動産 → 8倍
- 3231 野村不動産 → 10倍
- 3465 ケイアイスター不動産 → 11倍
- 8803 平和不動産 → 13倍
- 8830 住友不動産 → 38倍
不動産業界のインタレストカバレッジレシオは平均10倍前後です。
20倍を超えると高い印象なので、この中では住友不動産の財務は安全性が高そうですね。
電気機器業界
- 6976 太陽誘電 → 18倍
- 6755 富士通ゼネラル → 28倍
- 7735 SCREEN → 35倍
- 6856 堀場製作所 → 42倍
- 6588 東芝テック → 14倍
電気機器業界のインタレストカバレッジレシオは平均30倍前後です。
新製品の開発が活発な業界にも関わらず、業界平均は高い印象です。
インタレストカバレッジレシオの注意点
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「高い=良い企業」ではない
インタレストカバレッジレシオは「値が高い=安全性が高い」と判断できる財務指標です。
ですが「高い=優良企業」ではなく、企業を判断する基準次第では逆にNGです。
低ICR企業は中身を見て判断すべき
インタレストカバレッジレシオが低くなる理由は下記です。
- 営業利益率が高く、企業が稼ぐ利益が大きい
- 支払う利息が少ない
益性が高い企業のケースはOKです。
ですが「支払利息が少ない→借入額が少ない→事業投資をしていない→業績が横這い」のケースはNGです。
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インタレストカバレッジレシオの調べ方
インタレストカバレッジレシオは楽天証券アプリのiSPEEDで簡単に調べられます。
「指標」タブで確認
楽天証券のiSPEEDの「指標」タブの下の方でインタレストカバレッジレシオは確認できます。
スクリーニングで検索
同じく楽天証券のiSPEEDでインタレストカバレッジレシオの値からスクリーニングする方法です。
「検索→スーパースクリーナー→ICRの値を指定」の流れです。
画像のように「インタレストカバレッジレシオ 20~40倍」で指定すると、銘柄が選定されます。
まとめ
アツギリ
インタレストカバレッジレシオはPERやPBRのように主力指標ではありませんが、利息の返済能力を一目で判断できる指標です。
計算式に含まれる「営業利益と支払利息」は業績にモロに響きます。
なのでインタレストカバレッジレシオが低すぎないか?高過ぎないか?だけでも確認しておくべきです。
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