目次
アツギリ
この記事は「ミックス係数の使い方は?計算方法・業界平均を徹底解説!」で解説します。
「ミックス係数」とは?
「ミックス係数」とは、当期純利益と純資産の両方から企業を分析する指標です。
「割安株」「バリュー株」の分析によく使われる指標ですが、成長株の割高感を判断するのに使ってもOKです。
ミックス係数の計算式は?
ミックス係数の計算式は下記です。
ミックス係数は「ミックス係数=PER(株価収益率)×PBR(株価純資産倍率)」で計算します。
PERとPBRの計算式は下記です。
- PER(株価収益率))=株価÷EPS(1株純利益)
- PBR(株価純資産倍率)=株価÷BPS(1株純資産)
ミックス計数はPERとPBRを使った計算式なので、企業を収益性・純資産の両面から分析できる指標です。
PERとPBRのデメリットを補い、指標の強みを掛け合わせた指標がミックス計数です。
ミックス係数の使い方は?
次にミックス係数の使い方を解説します。
ミックス計数の使い方
ミックス計数は同じ業界、同じ規模の企業同士で値を比較して使います。
- ミックス計数が高い → 株価は割高
- ミックス計数が低い → 株価は割安
米国のバリュー投資家のベンジャミン・グレアムはミックス係数が「22.5倍」以下の銘柄を割安と判断するとしています。
グレアムのいう22.5倍は米国株式に当てはめたケースなので、日本株に使う時は基準が少し違ってきます。
市場の状況や分析銘柄によっても基準値は変わるので、状況に応じて適切な判断を下す必要があります。
ミックス計数で割安の銘柄とは?
ではベンジャミングレアムが言う「ミックス係数係数=22.5倍」はどんな銘柄なのでしょうか。
下記で計算してみました。
- PER 5倍 × PBR 4.5倍 = ミックス計数 22.5倍
- PER 10倍 × PBR 2.25倍 = ミックス計数 22.5倍
- PER 15倍 × PBR 1.5倍 = ミックス計数 22.5倍
PER、PBRいずれもかなり低い値が求められることが分かります。
ですがここ数年の日本株の中でミックス計数22.5倍以下の企業はなかなか見つかりません。
その点も踏まえて次でミックス計数の基準や業界平均を解説します。
ミックス計数の基準・業界平均は?
次に日本の有名企業のミックス係数を紹介します。
指数で株価分析を行う際は業界平均、同規模のライバル企業を基準にして比較することが重要です。
必ず同じ業界・同じ事業規模の企業と比較しましょう。
現在、超割安水準で放置されている2つの業種と銘柄を紹介します。
※全て2019年10月時点のデータで計算してます。
≪業界比較≫自動車業界/トヨタ自動車
トヨタ自動車のミックス計数は?
「トヨタ自動車」のミックス係数を計算します。
ミックス計数で自動車業界の株価を計算すると、割安銘柄が多く超バリュー株の宝庫であることが分かりました。
トヨタは「PER9.24倍、PBR1.02倍」です。
ミックス係数を計算すると、
PER9.24倍×PBR1.02倍=ミックス係数9.42倍
になります。
企業平均86倍、割安基準22.5倍に対して、トヨタのミックス係数は「9.42倍」と超割安です。
自動車業界のミックス係数の平均は?
自動車業界の主要企業のミックス係数をまとめました。
≪自動車業界のミックス係数≫
企業名 | PER | PBR | ミックス計数 |
日産 | 16.66 | 0.48 | 7.99 |
三菱 | 11.61 | 0.79 | 9.17 |
本田 | 7.51 | 0.58 | 4.35 |
スズキ | 12.71 | 1.46 | 18.55 |
主要企業よりミックス係数の自動車業の平均を計算しました。
【自動車業界のミックス計数の平均】
(9.42+7.99+9.17+4.35+18.55)÷5=9.89
自動車の業界平均は「9.89倍」と、割安株の目安である「22.5倍」を大きく下回ります。
≪業界比較≫銀行業界/三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行のミックス計数は?
三菱UFJのミックス係数を計算します。
現在は銀行株も自動車株と同様に割安水準で推移する銘柄が多いとミックス計数から計算出来ます。
三菱UFJは「PER7.72倍、PBR0.42倍」です。
ミックス係数を計算すると、
PER 7.72倍×PBR 0.42倍=ミックス係数 3.24倍
になります。
企業平均86倍、割安基準22.5倍に対して、三菱UFJ銀行のミックス係数は「3.24倍」とトヨタよりも更に割安です。
銀行業界のミックス係数の平均は?
銀行業界の主要企業のミックス係数はコチラです。
≪銀行業界のミックス係数≫
企業名 | PER | PBR | ミックス計数 |
みずほ銀行 | 8.82 | 0.47 | 4.14 |
三井住友銀行 | 7.13 | 0.47 | 3.35 |
新生銀行 | 6.89 | 0.41 | 2.82 |
主要企業よりミックス係数の銀行業界の平均を計算しました。
【銀行業界のミックス計数の平均】
(3.24+4.14+3.35+2.82)÷4=3.38
銀行業界の平均は「3.38倍」と、割安株の目安である「22.5倍」を大きく下回ります。
他の業界のミックス係数は?
ミックス係数で割安と判断できる業界を2つ紹介しましたが、他の業界も同様に計算してみました。
≪ミックス係数を業界比較≫小売業界
小売業界の主要企業のミックス係数はコチラです。
≪小売業界のミックス係数≫
企業名 | PER | PBR | ミックス計数 |
ニトリ | 23.62 | 3.34 | 78.92 |
ZOZO | 34.08 | 34.01 | 1159.06 |
ユニクロ | 37.66 | 6.46 | 243.28 |
主要企業よりミックス係数の小売業界の平均を計算しました。
【小売業界のミックス計数の平均】
(78.92+1159.06+243.28)÷3=493.75
≪ミックス係数を業界比較≫食品業界
食品業界の主要企業のミックス計数はコチラです。
≪食品業界のミックス係数≫
企業名 | PER | PBR | ミックス計数 |
カルビー | 25.70 | 2.92 | 75.04 |
明治HD | 16.65 | 2.13 | 35.46 |
キリンHD | 35.54 | 2.24 | 79.6 |
【食品業界のミックス計数の平均】
(75.04+35.46+79.60)÷4=63.36
≪ミックス係数を業界比較≫ゲーム業界
ゲーム業界の主要企業のミックス計数はコチラです。
≪ゲーム業界のミックス係数≫
企業名 | PER | PBR | ミックス計数 |
任天堂 | 25.26 | 3.46 | 87.40 |
DeNA | 34.46 | 1.15 | 39.63 |
スクエニ | 32.54 | 2.93 | 95.34 |
【ゲーム業界のミックス計数の平均】
(87.40+39.63+95.34)÷3=74.12
まとめ
以上、「ミックス係数の使い方は?平均・目安を徹底解説!」でした。
PER、PBRは優れた指標ですが、各指標単体のデメリット・不十分なポイントはミックス係数を使ってカバーしましょう。
ミックス係数を詳しく知りたい方、もしくは割安株投資(バリュー株投資)を深く勉強したい方はベンジャミン・グレアムのこちらの本がおススメです!
PERは企業の現在の業績から株価の割安・割高を判断する指標です。
ですが今後の成長率を含めて計算する指標である「PEGレシオ」をご存知ですか?