目次
こちらでご紹介するのは酒田五法の基本形のチャートパターンになります。
酒田五法には数多くのチャートの分析方法がありますが、いずれもこちらの記事でご紹介する基本形が分析の基礎となっているのでこれから酒田五法を学んでいく方は覚えておくことに損はないと思います。
酒田五法は、「三山」「三川」「三空」「三兵」「三法」の五法が基本形となります。
酒田五法「三山」とは?
【読み方】さんざん
三山は、ある一定の価格帯が株価の上値となって、株価の上昇が抑えつけられている状態です。
三山をチャート内で発見すると株価が天井を形成したパターンなので、株価がこれから下落に転じる可能性があると予測が出来ます。
「同じ価格帯(=上値抵抗線)を株価が3回トライしたが、3回とも一定の価格帯を上抜くことができなかったため、これ以上の株価上昇はないだろう。」という推測から天井形成のパターンのひとつです。
別名「トリプルトップ」「三点天井」と呼ばれることもあります。
この「三山」では、上値抵抗線となっている価格帯で3回株価が押さえつけられているのが分かります。「三山」なのだと言えることであってチャート形成途中ではまだ分からないであろう要素が多くあります。
例えば最初の上値抵抗線にタッチした1回目の下落では押し目の形成途中だと考えさせられるものです。こちらのポイント①の赤枠内を見てイメージしてください。
1度高値ではじかれて一時的に株価調整を行い、その後は再度上昇して高値を切り上げるものだと思っても仕方がないチャート形状です。
チャートを進めたポイント②では、ダブルトップの完成です。この赤枠の外枠内ではチャート形成の段階で既に株価が弱気サインを出していることは見て分かります。上値抵抗線に既に2回弾かれて株価は下落している状態です。
この後に再度株価は上昇に向かいますが、この段階では「三山」を形成する可能性を考えておく必要があります。次に上値抵抗線に株価がタッチした段階で売っておくことが無難でしょう。
こちらの下値支持線(ネックライン)を株価が下抜けたら、天井形成は確実でこれから大きく下落するであろうことが分かります。
ネックラインの詳細はこちら‼
[st-card id=1321]酒田五法「三尊」とは?
【読み方】さんそん
上記の三山(トリプルトップ)を応用したチャートパターンがこちらの記事でご紹介する「三尊」です。株価の天井をチャート形状から予測します。
酒田五法の三尊は米国では「ヘッドアンドショルダートップ」もしくは「トリプルトップ」と呼ばれているため、このような呼び方をされる方も多くおられます。
三尊をチャート内で発見すると株価が天井を形成した時の典型的なチャートパターンなので、株価がこれから下落するであろうという予測が出来ます。
「同じ価格帯(=上値抵抗線)を株価が3回トライしたが、3回とも一定の価格帯を上抜くことができなかったため、これ以上の株価上昇はない。」という基本的な考え方は三山と同じです。
ただ違うのは三川は高値が同じ価格帯で揃っていたのに対して、三尊は3つの高値のうち2つ目の高値が最も高くなります。
その後の株価がネックラインを切り抜けたらトレンドが転換した確率が高くなったと判断することが出来ます。
酒田五法「三川」とは?
【読み方】さんせん
三川をチャート内で発見すると株価が底値を形成したパターンなので、株価がこれから上昇するであろうという予測が出来ます。
ある一定の価格帯が下値となって、株価の下落が下支えされている状態です。
「同じ価格帯(=下値支持線)を株価が3回トライしたが、3回とも一定の価格帯を下抜くことがなかったため、これ以上の株価下落はないだろう。」という推測から底値形成のひとつのパターンです。
別名「三点底」「トリプルボトム」と呼ばれることもあります。
ネックラインと呼ばれる価格帯を株価が上に越えてきたら下落トレンドが終了し、トレンドの方向が上昇へと切り替わります。
酒田五法「逆三尊」とは?
上記の三川(または三点底もしくはトリプルボトム)は酒田五法の基本になりますがこちらの逆三尊も三川のチャートパターンを基本に波及した代表的なチャート形状です。
「逆三尊」のチャート解説
株価が底の形成を3回行うパターンです。
底形成①と底形成②はおおよそ同じくらいの価格帯になるケースが多いです。これらの価格帯に対して底形成②は最も安い価格帯で形成されます。
このチャートパターンを酒田五法では「逆三尊」と言います。
酒田五法の天井形成である「三尊」とは逆のチャートパターンです。
逆三尊のチャートパターンには「ネックライン」と呼ばれるものが重要な価格帯となってきます。このネックラインを株価が完全に上抜けると底値形成が明確になったということが分かります。
酒田五法 三空
【読み方】さんくう
陽線もしくは陰線が3本連続して、窓を開けて勢いよく株価が動く時を「三空」と言います。
分足や時間足、週足、月足では連続的にローソク足が表示されるため見られることはなく、日足チャートにて確認される時は相当強い株価の値動きであることが分かります。
日足で窓を開けると言うことは、相当量の寄付きの成行注文が3日連続で出ているということが分かります。
三空踏み上げ
窓開けの連日寄り付いている時は相当強い株価の値動きですが、ただ買い手優勢の買い注文もそんなに長くは続きません。
3日も連続で窓を開けて上昇していれば、上昇パワーの出尽くしで「利益確定もしくは空売りの売り圧力」により、株価が下げに転じる可能性が出てきます。
そのため、「三空踏み上げは売りに迎え」というのが酒田五法の教えとなります。
三空叩き込み
窓開けの連日寄り付いている時は相当強い株価の値動きですが、ただ売り注文もいつまでも出続けるわけではありません。
3日も連続で窓を開けて下落していれば、下落パワーの出尽くしで「損切り注文の狼狽売りもしくは空売りの利益確定」が終わったことにより、株価が一時的に自律反発する動きが出てきます。
そのため、「三空叩き込みは買いに迎え」というのが酒田五法の教えとなります。
複数三空
三空の応用編です。
横ばいを挟みながら「窓」を3回開けたチャートパターンです。こちらのパターンも上記した「三空 踏み上げ」と同様の考え方が適用できます。
酒田五法 三兵
【読み方】さんぺい
「三平」とは、陽線もしくは陰線が3本続けて出現チャートパターンです。
底値圏で陽線が3本続けば買いシグナルで「赤三平」といい、高値圏で陰線が3本続けば売りシグナルで「黒三兵(三羽鳥)」と言われるチャートパターンです。
赤三兵
黒三平(三羽鳥)
各ローソク足の実態部分が長いほど、トレンド転換のシグナルとしては強い値動きであると判断することができます。
赤三平、三羽黒はそれぞれトレンドの転換点になることが多いので見逃せないシグナルです。
赤三兵の先詰まり
ただ注意が必要なのは赤三平でも2本目、3本目の陽線が上髭を伸ばしているチャート形状の時です。
これが高値圏で見られた場合は要注意です。この赤三平を、「赤三平の先詰まり」と呼びます。
ローソク足のヒゲは上昇の方向に株価が進もうとしたけれど、売り圧力が加わり上昇を妨げられてしまっているケースです。
同じ赤三平でも高値圏で出れば強気サインと判断するのは間違いで、この先の株価は下落に転じることになります。この際の上ヒゲの長さは上値の重さを表しているので注意が必要です。
買いに動く場合の三兵
これまで株価は下落トレンドをたどってきましたが、底値近辺で「赤三兵」が出現しました。
上記の「赤三兵の先詰まり」とは違い、底値圏で出現しているので株価が底打ちしてトレンドが転換する可能性が考えられます。
ローソク足の実態部分と上ひげの長さを比較した時に実態部分の方が大きく、その上これまでの下落トレンドの際の下落幅よりも赤三兵の上昇幅の方が大きいので上昇への期待が一層高まります。
酒田五法「三法」とは?
三法には株価の上昇サインの「上げ三法」と下落サインの「下げ三法」の2つのパターンがあります。
上げ三法
大陽線から小さな陰線が3本続いて、再び大陽線が現れるチャートパターンです。
上昇相場でよく現れるチャート形状で、酒田五法の中でも比較的よく拝見されるパターンなので必ず覚えておきましょう。
①大陽線の形状は「陽の丸坊主」になります。寄り付きから引けにかけて上昇し続けた形なので、非常に強いローソク足と判断できます。
この時に出来高を多く伴っているのであれば「値動きの信頼性は高い」と判断できます。逆に出来高が普段と同じくらいしか積み上がっていなければダマシの値動きになる可能性が高くなります。
②~④大陽線に続く3本の陰線は値幅の小さいコマが3つ連続する形になります。3本連続の陰線なので少し下落はしますが、大陽線の上昇値幅に対して陰線での下げ幅が小さいため一時的な保ち合いの短期調整であることが分かります。
大陽線の半値戻しまでの価格帯までに3本目の陰線での短期調整が終了すれば、次にかなり強い上昇が期待できます。酒田五法でそのように書かれているわけではないですが、私の経験則からです。
この3本連続の陰線の出来高は減少することが好ましいです。
基本的に株価の変動幅と出来高の増減は連動しなければならないので、この点は必ず確認しておきましょう。下落した日の出来高が上昇した日の出来高よりも多いと売り圧力の方が強いと判断することができます。
ちなみに株価の変動幅の考え方も同じです。
これも単純な考え方ですが、「上昇した値幅」と「下落した値幅」を比較して、「上昇値幅<下落値幅」なら売り圧力が強いと言えます。逆に「上昇値幅下落値幅」なら買いの勢力が優勢です。
大陽線1本での上昇値幅を陰線3本連続をもってしても、上昇値幅の方が大きく大陽線が出る前の価格水準に戻っていないので、買いが優勢であると判断出来る。上げ三法はこの考え方がベースになっています。
そこに出来高分析を組み合わせて値動きの信ぴょう性を判断して正しいタイミングで参入するのが酒田五法を学ぶ必要性になります。
③3本連続で陰線が続いた後に大陽線が出現します。この2本目の大陽線は、1本目の高値を更新し株価の上昇への値動きの強さを改めて示します。
ここからは値動きに勢いがついている状態なので、ここから買いに動くのではなく株価の変動値幅が小さくなっている3本連続陰線の3本目のタイミングで買うのがベストです!
2本目の大陽線が出てから買いに動くと損切りに設定される株価の明確な転換点と判断できる水準まで大きな値幅がある上に、値動きが激しいのでリスクが高くなります。
もちろん2本目の大陽線以降は、更に大きく上昇する可能性があるので飛びつき買いに動く方が正解であるケースもあるのですが、出来る限り「陰線の3本目」で買いに動くように心掛けましょう。
下げ三法
下げ三法は、上げ三法とは全く逆のパターンです。
陽線と陰線の値動きの意味合いと出来高の増減の考え方を上げ三法をベースに下落の値動きに当てはめればそのまま利用していただくことが可能です。
①大陰線の出現
大陰線と共に出来高が増加していれば、「値動きの信頼性は高い」と判断出来ます。
逆に大陰線でも出来高が平均的にしか積みあがっていないと、ダマしの値動きで一時的な下落ですぐに上昇に転じる可能性も考えられます。
②~④3本連続陽線が出るも、上昇値幅も出来高も伴っておら一時的な反発であると判断ができます。
陽線が3本連続で出ているにも限らず、①の陰線1本分の値幅も取り戻せていないので売り圧力が優勢であることが考えられます。
ここでの一時的な株価の戻りは、「空売りの一時的な買い戻し」であることが考えられるので売り手の利益確定が終われば再度下落しだすことが考えられます。
買いで保有している持ち株があればここで売っておくのが無難でしょう。
⑤大陰線の出現
ここでも出来高が増えて大陰線が出現すれば「下げ三法」の完成です。
買いポジションでの保有株があると、②~④の陽線で上昇を期待してしまいがちですが、その後に大きな下落が待っている可能性があるので一時的に上昇したタイミングで損切りしておくのが無難でしょう。
のちの大陰線で損失を拡大するのは絶対に避けましょう。
まとめ
そのため株価位置を少し長い時間軸のチャートで見てから酒田五法を照らし合わせて分析するようにした方が良いよ‼[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”0002.JPG” name=”投資初心者ペンペン”]なるほどな‼底値形成時に出れば底打ちのサインでも、株価の高値圏で出ればまだまだ下落トレンドの初動で株価下落が続きそうだもんな。なるほど。[/speech_bubble]
以上、こちらの記事では株価の先行きを酒田五法で判断するチャートパターンを紹介してきました。
ですが酒田五法のサインが出たからといって必ずしも株価がその方向に動くとは勿論限りません。
チャートのパターン形成を分析する限りは完璧といえるようなローソク足の組み合わせでも実際はダマシの値動きになり、本来の想定される値動きの方向とは逆に動き損失を被ることも十分に考えられます。
ダマシに遭遇しないために最もお勧めなテクニカル指標が「出来高」と値動きを合わせて分析する出来高分析が筆者はお勧めです。
「酒田五法」で今後の値動きの方向性を分析し、「出来高」の増減を照らし合わせて更に分析することで値動きの信頼性の裏付けの判断を下すことが出来ます。
≪酒田五法を学ぶ書籍≫
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