目次
株価の上昇トレンドに突入中で、買うタイミングを的確に分析するために酒田五法のシリーズになります。
このチャートパターンは、「この上昇トレンドがいつまで続くのか」、もしくは「いつ下落に転じるのか」を判断するサインになります。
上昇トレンドの終了するきっかけは様々あると言えど、その初動の値動きとして酒田五法があてはまるケースが多くみられます。
酒田五法「上値遊び」とは?
「上値遊び」のチャート解説
「上値遊び」のポイント⓵
大陽線の連続で株価は急騰します。この株価位置としては、上昇トレンドの初動であることもありますし、高値にたどり着くまでの中段で出現するケースもあります。
ポイント②
ポイント①の大陽線での高値以降は、大きく下落することもなくもみ合いの期間が続きます。これまでに大きく上昇しているのでここでは利食いが入っているであろうと考えられますが、大きく下落しないのは買い注文が途切れることなく入り続けているからです。
短期的な株価調整の期間なので、上下への値動きはこれまでの上昇期間に比べて小さくなっています。
この株価調整の横ばい期間に「上値抵抗線」を引くことが出来ます。
ある一定の価格帯で株価の上昇が抑えられております。この価格帯を株価が上抜けたときが再度上昇トレンドが再開されることが分かります。
「上値遊び」のポイント⓶
しっかりと横ばいで株価の調整が行われたのちに、寄付きで大量の買い注文が入り窓を開けて上昇します。この際に、これまで上値抵抗線として存在していた価格帯も上抜いていきます。
出来高の推移も合わせて分析
このポイント①、②、③の流れで出来高の推移を判断することで値動きをより確かなものとして分析することが出来ます。
ポイント①では、大陽線で上昇してきているので出来高が増加しているべきです。この大陽線に関して振れると、この記事のテーマから少し外れてしますので出来高は増加しているのもとして進めていきます。
その後のポイント②の段階の株価の調整期間では、出来高は減少しているのが正常な動きとされています。株価と出来高の関係は、「値動きの大きさ=出来高の増減」になる必要があります。
つまりこの場面では、株価は横ばいで値動きは小さいので出来高の減少が正しい動きになります。
こういった値動きが小さい期間にもし出来高が増加している、もしくは減少しないようなら別の要因が考えられるので注意してチャートを見る必要があります。
ポイント③では、再度出来高の増加が必要になります。
ここで出来高が増加していないと、ポイント②での株価の調整が十分でなかった可能性が考えられます。一時的に上昇はするも、再度下落してポイント②で横ばいで推移していた価格帯に逆戻りする可能性が考えられます。
株価が上値抵抗線を上抜けする際に、出来高も連蔵して急増していればより確かな値動きだと判断できます。出来高の増加は、値動きを裏付けする意味合いがあります。増加が確認できていればダマしに引っかかる確率が低くなります。
酒田五法「押さえ込み線」とは?
「押さえ込み線」のチャート解説
「押さえ込み線」のポイント⓵
上昇途中の相場で大陽線が出現したのちに、数本陰線を挟んで上昇が一時的にストップします。上記のチャートの赤枠内の3本の小さな陰線がそれにあたります。
上昇は止まるも株価は「ほとんど下落することなく横這い」か「小さく下落」して上昇が一時的に休止します。
再度、大きく上昇するためにここでは上昇パワーを溜めているような状態です。多少のリスクは犯しても出来る限り安く買いたいという方はここで買いに動いても良いと思います。
ただしここでは小さな陰線を3本で表示していますが、実際のチャートではここが2本の時もあれば4本の時もあります。
早く買いに動けばもう一段の下落するリスクが待っている可能性がありますし、3本目4本目の陰線まで待っていれば陰線2本挟んで上昇してしまう機会損失のリスクも考えられるので株価の値動きの強弱を見てその時々で判断するのが賢明でしょう。
「押さえ込み線」のポイント⓶
ポイント①の後に再度、陽線が出現したらより確実な判断を下すことが出来ます。上記のチャートのように、複数の陰線を切り上げる大き目の陽線が出現する方が好ましいです。
この陽線の日の寄付き値が前日の終値よりも高く始まると、株価の値動きは強いことが更に確認できます。その際に出来高の増加も確認できれば申し分ないチャートパターンの完成です。
出来高に関して言えば、ポイント①の連続する陰線の時は前後の大陽線に比べて出来高は減少している方が好ましいです。
酒田五法「カブセ線の上抜き」とは?
「カブセ線の上抜き」のチャート解説
「カブセ線の上抜き」のポイント⓵
ここでは1度大陽線が出現した翌日に高く寄り付いて大きく下落し、大陰線として引けています。「カブセ線の上抜き」という名称は、この大陰線が「カブセ線」ということになります。
「カブセ線の上抜き」のポイント⓶
上昇トレンドが続いてきて、株価が比較的高値圏にある状態で高く寄り付いてからの大陰線(ポイント①の株価の値動き)はトレンドが転換するきっかけになることがあります。
ですがこのポイント②では、そんなに大きく下落することもなく比較的横ばいでの株価推移が続いています。
ポイント③
高値もみ合いの結果、大きく下落しないとみるや買いに動く投資家が増えてここで大陽線が現れます。この大陽線の終値がポイント①のカブセ線の寄付き値を超えることで「カブセ線の上抜き」が完成したことになります。
酒田五法「上放たれタスキ」とは?
「上放たれタスキ」のチャート解説
「上放たれタスキ」のポイント⓵
この段階では、株価はまだ大きく上昇していない状態です。株価の上昇前、もしくは上昇トレンド序盤のもみ合い期間である方が好ましいです。
【上放たれタスキが上昇相場の初期で出る方が良い理由】
この「上放たれタスキ」は、上昇相場の初期で現れる方がチャートパターンとしての確率がより高くなります。相場がある程度上昇してからだと買い手のポジションが積み上がっている状態です。
そこでこのように窓を開けて勢いよく上昇すると、利益確定売りに動く投資家が多く存在することが分かります。
この売り注文に動く投資家が多ければ多いほど、株価は下落に転じ今回のような窓はすぐに閉められるようになります。
上記の陽の値動きになると、ポイント②の陽線の日の寄付きで買った投資家は含み損になり、損切りの売り圧力へと変わり株価は下落します。
もちろん高値圏でもトレンドが崩れずに更に高値へと上昇する可能性は考えられるのですが、これは確率の話なので上昇初期であればあるほどより確実なシグナルであるということが分かります。
「上放たれタスキ」のポイント⓶
寄付きで相当量の買い注文が入り、窓を開けて勢いよく株価が上昇します。
その翌日には、上昇した分の利益確定をするために売り注文を出す投資家の売り圧力で一時的に下落します。寄付きから売り注文の方が多かったため前日の陽線の真ん中あたりで寄り付いています。
窓開け→陰線だと心境的には窓埋めで下落しそうな気がしますが、ここでは買い注文に動くのが正解です。
「上放たれタスキ」は、上昇後の利益確定の値動きなので一時的な株価下落です。そのためこの押し目を狙って買いに動くのが正しい投資行動です。
窓開け時の陽線は、大きく上昇しているため出来高も相当量積みあがっているケースが多いです。そのため投資家の多くはここで買っていることが分かります。
ただこの「窓開けの陽線」の段階では株価の上昇の値動きが本当に信頼のおけるものなのかまだ分からない状態なので、ここで買い注文を出すのは正しいとは言えません。
もちろんこの後も連続的に陽線が出現して買いそびれてしまえば機会損失になりますが、ほとんどのケースはここで少なくとも1~2日は下落します。
その下落した日のローソク足の形状や出来高の増減を見て判断することで、今後の値動きの予測を高確率で判断することが出来ます。
酒田五法「上放たれ並び赤」とは?
「上放たれ並び赤」のチャート解説
基本的な考え方は、酒田五法「上放たれタスキ」と同じ考え方です。
違うのは、窓を開けて上昇した後の2本目のローソク足が陰線になのか陽線なのかです。陰線なら「上放たれタスキ」ですし、陽線なら「上放たれ並び赤」になります。
「上放たれタスキ」と違う点
「上放たれ並び赤」は、窓開け上昇の2本目が陽線になります。「上放たれタスキ」と同様に、翌日は売り注文が多く入ったため安く寄り付きますが厳密にいえば↓のような違いがあります。
「上放たれタスキ」
前日の陽線のローソク足の中段あたりで寄り付いた後に下落して陰線になります。
窓開け後の値動きとしては、1本目「陽線」、2本目「売られて陰線」、3本目「買いが入って上昇」の3日間かけての値動きです。
「上放たれ並び赤」
始値と終値が前日の陽線と同じ価格帯です!
窓開け後の値動きとしては、1本目は「同じ陽線」で、上放たれタスキでの2本目と3本目の2本分のローソク足の値動きが上放たれ並び赤の2本目にまとめて集約されています。
このことから利益確定の売り圧力は、2本目のローソク足の寄付きの段階で吸収されていることが分かります。その後すぐに上昇に転じているので、「上放たれタスキ」よりも強い上昇エネルギーが存在していると判断できます。
この翌日に上昇して取引が始まったら買い注文を出すのが賢明でしょう。
酒田五法「小幅上放たれ黒線」とは?
「小幅上放たれ黒線」のチャート解説
ポイント①の赤枠の中では、株価にトレンドが発生しておらず小幅にもみ合っている状態です。この期間は相場は休眠期間に入っているため、価格の変動幅はかなり小さくなっていることが見て分かります。
ポイント②
突如、寄付きから窓を開けて大きく上昇します。この株価上昇で相場の小幅もみ合いの期間が終了したことを意味します。
この小幅もみ合いに入る前は上昇トレンドが続いていたわけですから、そのトレンドの再開を判断するシグナルになります。
値動きが弱く売り圧力が強ければ、このような小さな陰線になるのではなく寄付きの窓を埋めるくらいの値幅の大陰線になるはずなので買い手の強力なエネルギーが復活していることが判断できます。
「小幅上放たれ黒線」で株価のトレンド再開を確認して、翌日も大きく下落するようなことがなければ買ってトレンドに乗るのが良いでしょう。
酒田五法「差し込み線」とは?
「差し込み線」のチャート解説
「差し込み線」のポイント⓵
この期間では、株価は上昇トレンドで順調に株価が上昇してきていることが分かります。
もっと安い価格帯で買っている投資家達は、大きな含み益がある可能性が考えられます。投資ポジションが買い手に偏っている状態です。
「差し込み線」のポイント⓶
寄付きに買い注文が殺到して、前日終値よりも高い価格帯から取引が始まっております。
ただ終値では前日の陽線を割り込んで大陰線で引けているので結局は弱いチャートになっています。
これは寄付き後にここが株価の高値だと判断した投資家が、利益確定売りに動いて大量の売り注文が出た形であることが想定されます。
高値圏での大陰線は、トレンドが転換するサインでもあるのでこの時点では上昇トレンドが終了したかもしれないと慎重に考えておく方が無難でしょう。
「差し込み線」のポイント⓷
前日の大陰線の流れを引き継ぎ、寄付きは前日の終値よりも安い位置から取引が始まります。
ですが取引が開始した後は買い手が優勢で、急反発して前日の大陰線に食い込むように上昇します。
前日には大きく下落はしましたが、翌日には力強く株価を戻しているため上昇エネルギーはまだ残っていることが大陽線の「差し込み線」で判断出来ます。
このため前日の大陰線は利益確定の一時的な下落であったということが分かり、ここでは買いを行います。
酒田五法「二ツ星・三ツ星」とは?
「二ツ星・三ツ星」のチャート解説
上昇相場の途中で大陽線が出現後に、小さな陰線もしくは陽線が2~3本連続で出現するのが「二ツ星もしくは三ツ星」です。
酒田五法では、このような小さな陰線と陽線を「星」と呼びます。
この上記のチャートのように大陽線の後の星が3つ並ぶ時は「三ツ星」、ここが2つでチャートが形成された時は「二ツ星」と呼びます。
ここでの株価は、上昇したのちに横ばいの値動きになっています。大きく上昇してきたのに、ここで下落しないということは上昇する株価の勢いはまだ衰えていないことが判断できます。
「二ツ星」もしくは「三ツ星」が出現したのちに、陽線が出現したら上昇相場の再開の合図です。この際に窓を開けた陽線である方が株価の力強さは確実なものと判断できます。
リスクを多少冒してでも安く買いたい人はこの「二ツ星」もしくは「三ツ星」が出現しているタイミングで買っても良いでしょう。
ただ価格は少し高くなっても良いから確実に判断したいという方は、この後の陽線の出現を確認してから正確な判断を下すことが出来ます。
まとめ
そのため株価位置を少し長い時間軸のチャートで見てから酒田五法を照らし合わせて分析するようにした方が良いよ‼[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”0002.JPG” name=”投資初心者ペンペン”]なるほどな‼底値形成時に出れば底打ちのサインでも、株価の高値圏で出ればまだまだ下落トレンドの初動で株価下落が続きそうだもんな。なるほど。[/speech_bubble]
以上、こちらの記事では株価の先行きを酒田五法で判断するチャートパターンを紹介してきました。
ですが酒田五法のサインが出たからといって必ずしも株価がその方向に動くとは勿論限りません。
チャートのパターン形成を分析する限りは完璧といえるようなローソク足の組み合わせでも実際はダマシの値動きになり、本来の想定される値動きの方向とは逆に動き損失を被ることも十分に考えられます。
ダマシに遭遇しないために最もお勧めなテクニカル指標が「出来高」と値動きを合わせて分析する出来高分析が筆者はお勧めです。
「酒田五法」で今後の値動きの方向性を分析し、「出来高」の増減を照らし合わせて更に分析することで値動きの信頼性の裏付けの判断を下すことが出来ます。
数多くのテクニカル指標がある中でダマシによる想定外の値動きを回避するために最も優れているテクニカル指標が「出来高」であると考えているのでチャート分析を更に深めたい方にはおススメです。
≪酒田五法を学ぶ書籍≫
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